「英語を英語で理解したい」「英語力がいまいち停滞気味」「語彙力をもっと上げたいな」そう思って教科書や単語帳ばかりでの勉強をしていませんか?
中・上級者は教科書ではなく、洋書や文章をたくさん読む「多読」の方が早く、効果的に英語を上達させられます!
多読は英語脳を作るための近道かつ、確実な方法。中級レベル以降は教科書で単語や文法を勉強するよりも、多読の方がはるかに効果的に言語を習得でき、覚えた言葉もしっかりと定着させられます。
「多読」という言葉も無かったであろう時代に、かの夏目漱石もこう語っています。
"英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むがよい、 少し解らない節があって其処は飛ばして読んでいってもドシドシと読書していくと終いには解るようになる、又前後の関係でも了解せられる、 其れでも解らないのは滅多に出ない文字である、要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい、 即ち幾変となく繰り返し繰り返しするがよい、ちと極端な話のようだが之も自然の方法であるから手当たり次第読んでいくがよかろう。" 夏目漱石『現代読書法』より抜粋
私自身も、自分なりにたくさん読んだ英語の本や文章をで読解スピードや英語力を伸ばせたと思っています。
そこで本記事では、多読がもたらす英語上達への効果と実践する時のポイント、そして多読におすすめサイトをご紹介していきます!
今では月1000円もあればいくらでも本が読める時代。コスパも良く、効果は高いと自信を持って言える方法です。中・上級者で本に興味のある方、これから多読に挑戦したいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください♪
● 多読についてよく知らない人
● これから多読を始めようと思っている人
● 英語の読解スピードを上げたい人
● 語彙力を伸ばしたい人
● 英語脳を目指している人
● 中・上級レベルの英語力がある人
- 目次 -
多読ってどんな学習法?精読との違いは?
多読は英語の本や文章をたくさん読みむことで、英語力全体を上げていく、海外でも使われている言語習得のアプローチ法。第二外国語だけでなく、子供の母国語の学習にも使われています。
詳しくはこの後解説しますが、多読の主な特徴はこの3つです。
- 簡単に読める本を選ぶ
- 好きな本を楽しみながら読む
- 細かな文法や構文にはフォーカスせず、文章の主題や大まかな意図を捉える
これらには楽しくスラスラと読み進めることで、英語力の向上以外にも自信やモチベーションアップにつなげる狙いもあるんです!
一方、精読は短く難しめの文章を、注意深くゆっくりと読み進めます。文章をじっくり読みながら、主要なアイデアと詳細を区別したり、文法や単語の作りや意味を深く学ぶ学習法です。
多読 | 精読 |
---|---|
簡単な本をたくさん読む | 難しい本を少しづつ読む |
スピーディーに読む | ゆっくりと読む |
大まかな概要や意図をつかむ | 文法・構文や内容の詳細を理解する |
本やニュース、雑誌を読む | 教科書を読む |
多読は、自習や趣味で日常的に行う読書 vs 精読は、学校で習う国語や英語の授業
と捉えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
どっちが良いの?なんて議論もあるようですが、そもそも学習の目的もアプローチ方法も異なります。
私の考えはこんな感じです
初級〜中級者の場合で、英語の文法や構文も理解があいまい、という方は精読で英語の基礎をしっかり固めつつ、並行して多読で言葉に慣れていくのが良いと思います。
一方で中級〜上級者の場合は、洋書や英語の記事を毎日読みながら、実際に使われている言葉に繰り返し触れていく方が、早く着実にレベルアップします。
多読をする際の10個のポイント
多読の基本は、自分が楽しく簡単に読みめる本や文章を多くこなすことです。
抑えておきたい多読のポイント10個はこちら
- 簡単に読める本を選ぶ。知らない言葉ばかりの本はNG
- 幅広いジャンルの本を読む
- 自分で読みたい、興味のある本を選ぶ
- 出来るだけたくさん読む
- 楽しく読み、詳細よりも話の概要を追えているかを重視する
- 普段より早めのスピードで読む
- 一人で静かに読む
- 毎日最低20分は読む
- なるべく辞書を使わない*
- つまらないと思ったら次の本を読んでOK
⑨については、辞書を引いてはいけないと言われる事もあるようです。しかし個人的には読む邪魔をしない程度であれば、引いてもOKだと思っています。
というのも経験上、やはり読む中でその場で知りたい言葉は少なからず出てきますし、何度も出てきたら余計に調べたくなります・・。
ただし、頻繁に辞書を引いたり内容をあまり理解できていないなら、その本が自分のレベルに合っていない証拠。その時は少しレベルを落とした本を選びましょう!
洋書多読で得られる7つの効果
1. リーディング力が上がり、流暢に読めるようになる
リーディング力が上がるのは、誰もが想像していた通りかと思います。
実際に様々な研究でも読む量とリーディング力は関係しているという報告がされていて、読む量が増えるほど、正確にスムーズに読めるようになるそう。
確かに「慣れ」のせいなのか、日本語であっても習慣的にたくさんの本を読んでいる時期の方が、読むスピードも早い気がしませんか?
2. 語彙力がつき、維持できる
多読では文章を通じて非常にたくさんの言葉に触れていきます。教科書には出てこない言葉の使われ方を学んだり、様々な文章での言葉の使われ方を学べるのが大きな利点です。
例えば文脈の中で単語やフレーズ。多様な文脈で繰り返し同じ言葉を目にすることで、使われる言葉の組み合わせパターン(コロケーション)を頭に入れることができます。
さらに人が新しい言葉を覚え定着させるには約8回程度は目にしないと覚えないといった研究も。その点多読では、言葉に触れる回数自体が増えるので、語彙力アップに効果的なのも納得ですね!
覚えた語彙を繰り返し何度も読むことで、頭に定着させて忘れないように維持するためにも非常に効果の高い方法です。
3. ライティング力が上がる
多読を通じてたくさんの言葉をインプットできれば、その習得した言葉はライティングにも活かすことができます。
当然、知らない言葉はアウトプットできません。文章をどう組み立てるかといった文章構成や文の流れも、読む量が増えるほど、どんな形式で書かれているかが分かるようになります。
ここで一番大事なのはリーディングを通じて学んだ新しい語彙を、自分なりにライティングに取り入れているかどうか。学んだことは積極的に使うほど、結果的に英語で書く力もレベルアップしていきます。
4. 英語力全体が上がる
実は多読はリーディング・ライティングに限らず、英語スキル全体に効果があるとの研究結果も報告されています。 1994年に発表されたCho. K. S. と Krashen, S.の第二学国語を学習する大人を対象とした研究では、リスニングとスピーキング両方のスキルが向上したとのこと。
読むことで一度増やした語彙は、4技能全てに応用を効かせられるのです!
ライティングでも書いたように、ただ読むだけで終わらせず、その次に実際に「使う練習をする」ことが大切です。
私の経験でも、インプットした言葉を何度もアウトプットしてみることで、完全に自分で自由に使える言葉になっていきました。
5. 英語以外の知識を得ることができる
多読には、語学習得を超えたメリットもたくさんあるんです。
その一つは、海外の文化について学べたり、新たな知識を習得したりと、現地の本や文章だからこその貴重な知識を得られること。
読むことで歴史や土地、文化背景など、分野を横断して知識を増やしていくことができます。自分の興味がある内容の本や文章を読むので、楽しく英語も知識も増やしていけますね!
6. 学習の自主性を養える
多読では好きな本を読むことを推奨しています。そして読書はいつでもどこでも、自分一人で行う事が出来ますよね。
好きな時に好きなだけ読み進める事ができますし、自分なりに本の内容を解釈することもできます。
「たくさん読む」や「なるべく辞書を引かない」などのルールはありつつも、それ以外は学習者に任されています。
日々楽しみながら読めることができれば、普段は自主的に学習を進める事が苦手な人にとっても、最もルーティン化しやすい方法の一つではないでしょうか。
7. 自信とモチベーションが高まる
多読の一番の目的は楽しんで読むこと。英語力はその結果についてくるものと考えられています。
英語の勉強のために読むのではなく、自分の好きな本から新たな知識を増やしたりストーリーに没頭できれば、読んでいる時間や内容を楽しむことができます。
好きな本を読む → 楽しい → もっと読む → 自然と多くの英語に触れる → 英語力が上がっている → 自信とモチベーションアップ
こんな風に、楽しく読めば読むほど、嬉しい好循環になってくれるんです!
参照
http://www.sdkrashen.com/content/articles/krashen_sla.pdf
tensive Reading in the Second Language Classroom (Cambridge Language Education)
Bamford, J. and Day, R. R. (Eds.) (in press). Extensive reading activities for teaching language. Cambridge: Cambridge University Press.
https://www.cambridge.org/us/files/5615/7488/6504/CambridgePapersinELT_ExtensiveReading_2017_ONLINE.pdf
中・上級者向け – 洋書の多読におすすめのサイト
多読ができるサイトには、下記3つの種類があります。
- 海外の無料電子図書館
- 定額読み放題サービス(洋書のサブスクリプションサービス)
- Graded Readers
それぞれの中でおすすめのサイト・サービスをご紹介します!
海外の無料電子図書館
海外の電子図書館を上手に活用すれば、無料で非常に多くの洋書にアクセスすることができます。新しい本が少ないデメリットもありますが、昔からの有名な書籍を含め数万冊という本の中から選ぶことができます。
無料電子図書館の詳しい記事はこちら ☞ おすすめの無料電子図書サービス3選
洋書の定額読み放題(サブスクリプション)サービス
Kindle Unlimitedなどの定額読み放題サービスは、無料電子図書館には収録されていない新しい本やベストセラーを読むことができます。
有料ですが、ほとんどが月1000円以内で、サービスによっては雑誌やオーディオブックが含まれるものも。本1冊分でフィクション、ノンフィクション、ビジネスなど多様な書籍・雑誌の読み放題ができるとなれば、とっても安いですよね。
定額読み放題サービスの詳しい記事はこちら ☞ おすすめの定額読み放題サービス5選
Graded Readers
きちんとした指標に沿ってレベルアップをしていきたい人におすすめなのは、Graded Readersの活用。英語レベルによって対象となる本が指定されています。
本の種類と数が少ないのと、1冊づつ購入しないといけないのが難点ですが、段階的に進めていきたい、多読に慣れ親しんでいきたい方にとっては始めやすいです。
海外の無料電子図書館と定額読み放題サービスについては下記の記事で詳しく解説しています。
【無料から定額読み放題まで!】英語の多読やリーディングにおすすめの海外サイト8選まとめ
本記事では、中・上級者こそぜひ取り入れたい英語の「多読」についてご紹介しました。
多読は単にたくさん読むのではなく、簡単な本・自分の好きな本を楽しみながら読むことに焦点を当てています。
つまり多読では、「読むことに没頭している間に英語力も上達している」状態が一番の理想。
その間に自然とリーディング力・語彙力ほか、自主性やモチベーションにも良い効果をもたらし、結果的に英語力全体を底上げしてくるのです。
本や文章を読むのがそもそも嫌い・・という方には不向きかもしれませんが、そうでない方はぜひ「多読」を日々の習慣にしてみてくださいね!
多読以外に私がTOEIC975点を取れるまで取り入れた日々の習慣や、英語学習の継続に大事なことは下記の記事でご紹介しています。
【留学並みに英語を習慣化!】TOEIC975点の筆者が日常生活に取り入れた7つの事 【英語学習で挫折してしまう原因はこれ】継続のために最も大切なことは?